装身具のひとつにすぎなかった腕輪は、腕時計で復活した【連載】

ここで腕時計の歴史についてまとめてみましょう。

実は、時計の歴史を振り返ってみると、人類そのものの歴史と密接に関わってきます。なぜ、私たちは腕時計をするのでしょうか。この問いに対して、一般的には、時間を知るのにとても便利だからという答えが帰ってきそうです。そして2015年、米・アップル社を含めた、多くのスマートウォッチが登場したとき、私たちにはふと、ある疑問が思い浮かびました。腕時計が、腕時計型端末(スマートウォッチ)となったとき、もっと便利になるはずなのに、実際には、否定的な声をかなり多く聞いたのです。それは一体なぜでしょうか。

 

matome.naver.jp

 

http://assets-s3.mensjournal.com/img/essential/my-week-with-the-apple-watch/618_348_my-week-with-the-apple-watch.jpg

【My Week with the Apple Watch】

アップルウォッチが登場したとき、我々の脳裏には次の疑問が浮かんだはずだ。時計が必要?それは私たちの毎日を変えてくれるの?

 

 

序文

時計と時間についてのお話:連載にあたっての序文 - 夜明け前の…

第1回

腕時計は、「やっぱりスイス」なのか【連載】 - 夜明け前の…

(略)

第12回

ムーブメントを語れれば、時計の「ツー」だ(2)【連載】 - 夜明け前の…

第13回

時計の種類と操作方法【連載】 - 夜明け前の…

 

 

腕に、何かを身につける行為は、何千年も昔にさかのぼります。当時の人類は狩猟生活を送っていましたが、様々なアクセサリーを身にまといました。骨、石、貝などを腕に限らず、耳や首、腰や足などにつけたのです。この行為は、生きるために必ずしも必要ではなかったので、多くの学者はこれを「遊び」心の萌芽と考えています。しばらくすると、アクセサリーには装飾が施され、こだわりが見られるようになります。こうして人類は、道具制作を本格化させ、芸術活動を始めるようになりました。腕時計の前身である腕輪は、その過程で誕生したものです。

 

http://liberalarts-kgwu.sakura.ne.jp/sblo_files/liberalarts-kgwu/image/Tomb_of_Nakht_-_three_musicians-thumbnail2.JPG

【女性が輝きを追い求める理由? ーブランドショップA-levelのブログ】

アクセサリーの起源は、古代エジプト時代に、人の身体に模様を施して装飾したのが最初と言われてるそうです。その後、狩猟の腕を誇る象徴として、動物の骨や牙の首飾りなど身につけていたのが今のアクセサリーの原型だと言われているそうです。

 

その後の腕輪は、服飾の進化や長袖の普及とともに、一時下火となったと言われますが、19世紀後半、懐中時計、すなわち小さくなった時計が普及するようになると、地位のある女性貴族たちは、懐中時計を腕にできるアクセサリーとして購入するようになりました。これが、いわゆる腕時計の始まりです。何千年もの人類の歴史の中で、腕輪や腕時計は、アクセサリーとしての役割こそその本命だったのです。今日、多くの腕時計がやはりファッションアイテムとして認識され、世界の至るところで販売されています。その観点からすると、スマートウォッチとは、見た目にもさほど美しくなく、しかも毎日同じアイテムをすることが強いられるため、一部の人々には抵抗があるようです。

 

1868 Patek Philippe|The Evolution of the Wristwatch(英語) : 時計の「必学」雑学 100選 - NAVER まとめ

http://www.vintagewatchstraps.com/Patek%20Philippe.jpg

 

さて、腕時計の生い立ちが分かったところで、私たちは次なる重要な問題を考えなくてはなりません。なにゆえ、時計なのか、です。時計ともなると、アクセサリーとはまったく異なる高度な技術の結集が必要になります。人類は、なぜ、時間を知る必要が出てきたのか。そこに着眼して、歴史の旅を続けましょう。

 

次回

宗教によって、時間観念が生まれ、時計のニーズになった【連載】 - 夜明け前の…