時計の種類と操作方法【連載】

第13回:

 

時計とは、極めて簡単な機能しか持ちえていない工業製品です。しかし、針のついた通常のアナログ時計であれば、電子製品とは異なり、機械仕掛けで動くことになります。その代表的な操作部位がリューズです。それを引き出すことがスイッチになって、時計・輪列部の歯車と噛み合います。そして、リューズを回転させることで、時計の針が右にも左にも動きます。

 

時計のしくみ-ゼンマイの巻き上げと動力- | Horology | TOKEI ZANMAI-時計三昧-

http://www.tokeizanmai.com/images/barrel.jpg

 

 

goobuy.hateblo.jp

http://mr-coo.com/kiso/image/calendar-30.jpg

 

 【一般的な時計のカレンダー切り替わりの瞬間】

11時35分からカレンダーの日にちが動き出す(ディスクが回り出す)。更に約20分進めた状態で”日にちが”半分切り替わる。12時ジャスト、ここで”日にち(数字)のみ”が完全に切り替わった(曜日はまだ変わらず)。腕時計が午前1時24分になると、曜日が動き出す。そして更に約40分進んで午前2時。曜日が完全に切り替わる。ところが、このときは英語の曜日だ。更に約1時間10分。英語表記の曜日が動き出し、午前4時8分、(日本語表記の曜日へと)完全に切り替わる。

※曜日カレンダーは通常、日本語と英語がひとつのディスクになっている。逆に言うと、日本語曜日表記を、半分ずらして設定すると、英語表記に切り替えることができるのだ。

 

 

 

序文

時計と時間についてのお話:連載にあたっての序文 - 夜明け前の…

第1回

腕時計は、「やっぱりスイス」なのか【連載】 - 夜明け前の…

(略)

第11回

ムーブメントを語れれば、時計の「ツー」だ(1)【連載】 - 夜明け前の…

第12回

ムーブメントを語れれば、時計の「ツー」だ(2)【連載】 - 夜明け前の…

 

 

もし、リューズの引き出し方が二段階にわたる場合、噛み合う歯車は変わります。カレンダーディスク(日板)のある時計であれば、ディスクだけを単独で回すこと(=早回し)ができます。この仕組みの誕生により、時間設定と日付設定をより効率的に行うことができるようになりました。また、通常の運針で(秒針・分針・時針が動くとき)は、0時になるまでディスク(カレンダー日板)は少しずつ力を貯めこみ、日付が変わったときに一気に動くバネ(爪)構造になっています。ディスクが跳ねる前にバネが伸縮を始めることで力を貯めていますので、その際にリューズからの力を加えない(=早回しをしない)ようにしてください。ぷつんと壊れてしまう恐れがあります。お気づきでしょうか。多くのアナログ時計(カレンダーディスク付き)では、日付変更の禁止時間が決められています。深夜帯(ディスク作動時間帯)での操作(=早回し)禁止という注意書きがあるのはそのためです。

 

クロノグラフとは/西新オレンジストア

http://www.orange-tokei.com/img/watch/crono_zu.gif

 

クロノグラフの時計は、リューズの上下に押しボタンを有しています。機能は、任意時間の計測なので、上のボタンを押して「開始」、もう一度押して「停止」です。計測時間は通常「秒」単位になりますが、それを中央の大きな秒針で表示する場合(センタークロノと呼ぶ)と、小秒針で表示する場合とがあります。上のボタンを押すたびに、「開始」「停止」「(停止した位置からの)再開」「停止」を繰り返し、下のボタンを押してようやく元の位置(=リセット)に戻ります。操作はいたって簡単ですが、表示を読み解くのが難しく、あらかじめ、それぞれの役割(計測秒の針が一周するたびに計測分の針が動く、など)を確認しておきましょう。

 

http://diamond.jp/go/pb/carl-f-bucherer/20110603/img_02.jpg

【Diamond Online 高級機械式ウォッチを識る】

時計産業では、世界の複数の地域の時刻を表示する機能を「GMT」と総称する。海外出張をイメージしてみよう。東京発のフライトでパリに向かうとする。機中で現地時刻に合わせるには、リューズを操作して、(今まで東京の時刻を指していた)時針を 8時間逆に戻せばよい。

7時と8時の間に位置する赤い針がGMT針。日本以外の地域で腕時計を使う場合、この針が東京の時間(ホームタイム)を示し続ける。文字盤のもっとも外周の24時間目盛りと対応させて15時と読み取れる。

 

GMTやワールドタイマーと呼ばれる時計の使い方は簡単です。第二時間を指す針か、第二時間を読み取るときに参照するインデックスを操作します。リューズの回転か、ベゼルやリングの回転で調整します。

 

その他の機能をもった時計も多々ありますが、そのほとんどはリューズの回転(0~2段時)方向か、ボタンの押込みで操作します。時計に興味のある人は、このような簡単な操作部位で動く歯車の並びがどうなっているかなどに思いを寄せてみると、先人たちの知恵が忍ばれるかもしれません。