時計と時間についてのお話:連載にあたっての序文

2015年。覚えていらっしゃるでしょうか。ハリウッドの名作『Back to the Future』の第二作目(1989年制作)で描かれた世界が、実は2015年でした。第一作(1985年制作)のラストシーンは、車両型タイムマシーン「デロリアン」に乗って未来へと旅立つ場面。行き先は、映画の場面設定である1985年から30年後の2015年、つまり今日の私たちが暮らす時代への時空飛行でした。

 

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現実の2015年はどうでしょう。クルマはまだ空を飛んでいませんが、色々な技術が実現を待って、開発中となっています。テレビ通話は、パソコンとインターネットによってできるようになりました。また、空中に映し出す3D映像は、ホログラフィック・ディスプレイと呼ばれる技術として、今、注目を浴びています。そう言えば、グーグルが挑戦したメガネ型コンピューターの原型も、映画では登場していました。そして、そこに割って入りそうな未来型製品とは、そう、あの時計型コンピューター「スマート・ウォッチ」です。2015年は、アップルが市場投入して一気に脚光を浴びました。

 

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さあ、そんな、ホットな話題が誕生した時計製品ですが、ひとつの節目になりそうなので、一度、その歴史や本質を振り返ってみたいと思いませんか。時計を見直すことは、実は、私たち人類の歩みを振り返ることであるのです。全然大げさなことではありません。私たち日本は、世界に冠たる時計大国です。クォーツで世界を席巻したセイコー、部品外販で業界を変えたシチズンGショックで世界一有名な日本時計ブランドとなったカシオ。こういった多彩な顔ぶれが束になっても勝てないのが、メイド・イン・スイスの高級腕時計。書店や雑誌で取り上げられるのも、決まって、一般の庶民からはほど遠いスイスの高級ブランドばかりです。

 

 

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腕時計の教科書

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そこでこの連載記事は、敢えて、スイス製高級ブランドを追わず、庶民目線での時計や人類と時間との関わりに着目し、これまで、あまり語られることのなかった事実や歴史的変遷を記したいと思います。専門用語に頼らず、できる限り平易に伝えることを主旨にまとめてみるつもりです。本記事はあくまで、時計に興味をもってもらうために書かれたものです。ぜひ、これもまた、今日を生きる私たちの教養の一つだと思って、読んでもらえればうれしいです。

 

それでは、皆さんの知らない時計と時間のお話を始めてみましょう。

 

 

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