時計の多機能って何のこと【連載】
第7回:
近年、大流行しているクロノグラフ時計。文字盤に、いくつもの小針があり、中央の三針(秒分時)と合わせて、航空機か自動車の計器盤のような一体的なデザインとなっています。通常の時刻表示を続けながら、利用者の操作に従って、小針などが時間を計測してくれます。こうした典型的なクロノグラフ時計は通常、時計のケースの横に突き出たボタンがあり、これでいわゆるストップウォッチ機能のスタート・ストップ・リセットの指示を出します。実用性では各種スポーツや料理に使うことも可能ですが、実際には、見た目の格好良さで人気になっているようです。
序文
時計と時間についてのお話:連載にあたっての序文 - 夜明け前の…
第1回
腕時計は、「やっぱりスイス」なのか【連載】 - 夜明け前の…
(略)
第5回
時計はなぜ正確なのか(調速機・脱進機の役割)【連載】 - 夜明け前の…
第6回
時計はなぜ時間を伝えられるのか(文字盤や針)【連載】 - 夜明け前の…
また、時計でよく採用されるGMT機能とは、時差のある別の都市の時間を同時に表示するものです。国際的な仕事をする出張者や、海外旅行の愛好者などには便利な時計です。リューズ操作などで、通常の時刻表示(本国・第一都市の時間)とは異なる針を動かします。たとえば、出張する先の国(第二都市の時間)の時差が本国より6時間遅いなら、現在時刻を示した時針から、さらに6時間後退したところに、第二都市の時針を移動させます。仮に、自身が出国をしなくても、国外の知人や取引先に頻繁に電話をかける人には、実用的な機能かもしれません。
一般的に「GMT」と呼ばれる複雑機能:「GMT」とは、グリニッジ標準時を意味する。かつてイギリスのロンドン郊外、グリニッジ天文台を通過する子午線を基準にして世界各地の標準時や時差に関する国際的なルールが取り決められ、そこから転じて、時計産業では、世界の複数の地域の時刻を表示する機能を「GMT」と総称するようになった。
その他、レトログレード針を有した時計もあります。この針の特徴はその動きにあります。通常、時計の針とは周回するのが一般的ですが、レトログレード針は扇状を一端から反対の端に動いた後、一気に元の位置に飛んで返ります。ユニークな動きであるため、時計マニアなどに好まれる仕樣だと言われています。
針が逆行するレトログラード [男の腕時計] All About
針が反復運動する「レトログラード」:単純に言えば、針が「逆戻りする動き」によって、時刻やカレンダーなどを表示する複雑機構を指す。7日を一周期とする曜日のレトロ表示の場合、かりに月曜日を始点とすると、日曜で終点(逆の端)に達する。日曜から切り替わるときに、レトロ針は元の位置(元の端)までジャンプさせ、次の月曜へと移るのである。
前項で挙げましたが、時間に関わる各単位を伝えるのが時計の主たる役割です。秒・分・時・日・週・月は一般的で、月の暦を月相で示すムーンフェイズも、時計の代表的な機能の一つです。これらは時計のムーブメントそのものに付与することができます。また、アラームなどのブザーや、光を発するLED灯を加えて、時計の付加機能にしている場合もあります。さらに、時計のケースに付与する機能もあり、たとえば、ベゼルを回転させる機構にして、経過時間を計測したり、単位換算を行えるようにしたり、世界の都市名と時差を表示できたりするものもあります。世の中に出回っている時計の数量としては、こうした多機能な時計はまだまだ少数ではありますが、昨今、雑誌などのメディアでの露出では、圧倒的な存在感を放つようになっています。
ムーンフェイズは、新月、上弦、満月、下弦と変化していく月の満ち欠けの様子を表示する機構だ。通常の機構では、ムーンフェイズ・ディスクには2つの月があって59枚の歯がついている。そしてこれが24時間に1回、1歯分進められる。月の満ち欠けの1周期は29.5日。(ディスクは、その上の2つの月が交互に出ては消え、59日で一周する)
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