好奇心をもって、数字を推計してみよう

『数学の言葉で世界を見たら』 付録 - Caltech Hirosi Ooguri

 

フェルミ推定」とはマーケティングに非常に役立つものです。フェルミとは人の名前で、世界初の原爆実験に参加した一人でした。その実験では観測基地に爆風が達しました。その時フェルミが取った行動はあからじめ用意していた紙切れを爆風に預けたのです。紙切れは2メートル半飛んで地面に落ちたと言います。そしてフェルミはこう言いました。「TNT火薬2万トンに相当する威力だ」と。その後、科学者たちはこの実験の爆発データを調べ、精緻な計算を積み上げたうえで、フェルミと同じ答えに到達します。これがフェルミ推定の真骨頂です。

 

 

たとえば「東京都には鉄道駅がいくつあるか」。比較的簡単な問題例から考えてみましょう。東京都の可住地面積は1300平方km2です。これを強引に1200km2として、20kmと60kmの長方形を東京都の形状としました。都区と都下の可住地面積がほぼ同じなので、駅間の距離を都区1km・都下2kmとして計算すれば、「都区に600駅」「都下150駅」。したがってこれを合わせると、750駅という結論が得られます。さて、実際にはいくつの駅があるでしょうか。答えは約「650駅」。ちなみに「都23区内の駅は500弱」で、都下は150駅くらいになりそうです。この差(100駅)は、わずかなものと言えなくもないですね。

 

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さて、フェルミ推定と言えば、有名な事例として「都内のマンホール数」の推定という問いがありますね。フェルミ推定は、以下5つの視点で考えます。ただし、マンホールひとつが何世帯に割り当てられているかという点が、私には推定できませんでした。結局、何らかの値(世帯数とマンホール数の統計)を入れてみて初めて成り立つのです。

  1. 仮説を立てる。
  2. 問題をいくつかの要素に分解する。
  3. 既知のデータを活用する。
  4. 各要素の推定量を決定(算出)する。
  5. 総合する。

 

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規模感をとらえるという「フェルミ推定」。エンリコ・フェルミという物理学者で、1938年にノーベル物理学賞を受賞しました。フェルミ推定は、海外の大学の授業や企業の面接で出されており、Googleなど有名企業でも取り入れられています。さまざまな考え方や手がかりから論理的に推測し、短期間で計算することが、試験では問われます。いずれにしても、数字でもってロジックを詰めていくと、おぼろげながら正解に近づけるような気がする。そんな希望を抱かせてくれる推定手法です。