ギャンブラーの破産問題を考える
数学の言葉で世界を見たら 父から娘に贈る数学 (幻冬舎単行本)
- 作者: 大栗博司
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2015/03/19
- メディア: Kindle版
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『数学の言葉で世界を見たら』 付録 - Caltech Hirosi Ooguri
コインを投げて表が出るか裏が出るかを賭けるとします。表が出たら(=p)1円もらえて、裏が出たら(=q)1円取られます。理論的には、持ち金(=m)が増えるか減るかの確率は五分五分となるはずです。しかし、カジノの経営なら胴元が必ず勝ちます。なぜでしょうか。そもそもルーレットは1から36までの数字のポケットが並び、赤黒に分けられて半分ずつになっています。そこに「0」と「00」のポケットが加わり、胴元にお金が行く仕組みです。つまり、個々のお客さんにとって、自分のポケット(=p)は18個で、自分以外のポケット(=q)が20個となるのです。この、たった2個分の差(18/38=0.47)が、ずっと賭けているうちに「破産」という結果を招くのだから不思議です。ここで、手持ち所持金(=m)の100円を、目標(=N)の150円にする確率を考えてみましょう。これが著名な「ギャンブラーの破産問題」と言われるものです。
なぜ同じ額を賭け続けてはいけないのか!?「ギャンブラーの破産問題」 | 東京カジノラボ
第1話 補遺 - Caltech Hirosi Ooguri
結論ですが、ほんのわずかな差が圧倒的な結果を産むことになります。独立的に起こる事柄の確率は、それぞれの確率の積になります。勝つか負けるかという繰り返しは、2の累乗です。ただし、先ほどのギャンブルであれば、勝つ確率が38のポケットのうちの18なので、約「47%」。ほんのわずかですが、負ける確率の方が高くなっています。これを3回やって勝ち続ける確率は「47%x3=11%」。儲かるためには3回のうち2回勝てばいいので「47%x2+12%+12%=46%」。この時の、儲かる儲からないの差もわずかなように見えます。しかし、(Nが)十分な数を繰り返せば、勝つ確率(P)は限りなく小さくなります。もし、所持金の100円を150円に増やすまで続ける(目標=N)のだとしたら、勝つ確率は0.45%にまで減ります。逆に言えば、一文もなくなって破産してしまう確率は99.55%、こんなギャンブルは、冷静になって考えれえば、やるものではありませんね。これこそ、ギャンブルが負けるようにできていると言われる所以です。
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