産業革命は、労働者とエネルギーとの絶妙な関係性によって生まれた

前回からの続き。

なぜ、産業革命はヨーロッパだったのか - 夜明け前の…

 

 

なぜ、イギリスで産業革命が起こったのか。Robert C. Allen氏(下掲)の文章が面白い。

 

産業革命がなぜ18世紀の英国で起こったのかという謎は経済歴史家の間でも未だに解決されていない。

http://gcoe.ier.hit-u.ac.jp/images/vox/robertallen.jpg

 

同氏が書いているように、全ヨーロッパとの関係で言えば、イギリスは17世紀後半においてすでに主導的な立場を確立していた。当時、帝国主義を基礎として成長路線に乗っていたイギリスは、過去の帝国が直面していたように、資源の制約にぶつかろうとしていた。しかし、当時は石炭資源が代替できる条件が整い、同時に都市労働者の賃金も十分に上昇していた。賃金が高ければ、機械化が進むという理屈である。こうして、高賃金と化石資源の結合により、技術革新の舞台が整った。もちろん、その背後には、累積した資金が再投資されるだけの好条件がそろっていたからこそ初めて成り立つものだった。

 

 

産業革命はなぜ繊維産業から始まったのか - システム論アーカイブ論文編

人類の歴史を振り返ると、2500年周期で不活発になる太陽活動にあわせて、革命的な変化が現れることに気がつく。

BC8300年頃 食糧生産革命
BC5800年頃 農業の世界的普及
BC3300年頃 都市革命・四大文明の成立
BC 800年頃 精神革命・世界宗教/哲学の成立
AD1700年頃 科学革命・宗教革命・市民革命・産業革命

 

その他様々な理由が指摘されているが、上掲サイトでは、革命とは危機的な環境下でこそ起こるという。まさに、当時の、小氷期における気温の低下が、繊維製品の需要を増大させたとも考えられる。

 

厳しい環境でこそ、技術的に、あるいは社会システム的に新しい発明がなされ、人類は次のステージへと進むことができた。産業革命はまさにその劇的な変化であったに違いないが、実は、まだ、もっと大きな要因があった。それは前掲書(下記)にある通り、世界帝国が衰退し、主権国家がそれに取って代わることにより、産業革命の実現に大きく寄与したのかもしれないということだった。

 

 

近代ヨーロッパの形成: 商人と国家の近代世界システム (創元世界史ライブラリー)

近代ヨーロッパの形成: 商人と国家の近代世界システム (創元世界史ライブラリー)