肌の研究とスキンケア化粧品との関係
トコトンやさしい化粧品の本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
- 作者: 福井寛
- 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
- 発売日: 2009/10/01
- メディア: 単行本
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化粧品を考える前に、肌について考えてみましょう。肌とは皮膚とほぼほぼ同義です。ただし、「医薬品等適正広告基準」には、皮膚と肌が分けて書かれています。たとえば皮膚には潤いを与えますが、肌にはツヤを与えます。しかし、両者の区分け方は記述されていません。その構造を語る時には、「皮膚」が用いられます。三層構造で、上から表皮・真皮・皮下組織です。外界の刺激に向き合う表皮はわずか0.2mmの厚さ、6週間で新しい細胞に置き換わっていきます。
皮膚の構造と感覚|六訂版 家庭医学大全科 - gooヘルスケア
皮膚は、外界からの機械的刺激(摩擦)に耐えたり、異物(病原菌)の侵入を防いだりしています。その他、高温・低音にもさらされますし、紫外線への対処もかなり厄介です。そして何より皮膚は、体内の水分が外に出ないようにみずからを膜で包んでいます。これが皮脂です。もちろん、その他、様々な刺激を脳に伝える感覚器官の役割も担っています。これだけ挙げても、人体最大の臓器・皮膚の重要性が分かってもらえることでしょう。
皮膚の悩みは「老化」です。年齢とともに、皮膚の弾力性(はり)がなくなり、シワが深くなります。光が当たると、老化の進みが早くなります。そして皮膚がもっていた機能も弱まります。また皮膚は、心理的ストレスによっても日々変化するそうです。
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そんな皮膚ですが、個人差も大きいと言われます。皮膚の個性を決める主な軸は二つ。皮脂量と保湿能です。基準は、皮脂が多すぎず、保湿がばっちりという肌です。これと比べて、自身の肌質を知っておくと、どのようなケアをすればいいかが分かるはずです。健常人であっても色々な状態があるので、対処方法が違ってきます。
ちなみに、なぜ保湿はそんなに大事なのでしょうか。要は水分のことですが、これは皮脂膜に2~3%、角質の中に20%弱、角質細胞間の隙間を埋めるのに80%もの水分がそれぞれ存在しています。これらが密に存在して、皮膚のバリア機能を担っています。ここに水分を補給しているのが保湿の役割です。しかし、単純に水分を加えても、蒸発してしまうだけでは、かえって肌内部の水分を抜き取ってしまいます。補給した水分がきちんと肌の中に残る仕組みで提供しないと意味がないのです。
なぜ必要?スキンケアで保湿が大事な理由を徹底解説 | ハリツヤ研究所
では具体的にはどうするのか。「モイスチャー・バランス」理論というのがあります。皮膚保湿を支える主要成分を参考に、化粧品成分も同じバランスで考えるということ。そこで化粧水には、水の他、少量の油分が界面活性剤で可溶化され加えられました。また、保湿剤と油性成分の両者をバランスよく配合した乳液やクリームも考案されました。まとめますが、化粧水が水分補給に使われます。乳液が皮膜を作って水分をキープします。クリームは乳液より油分が多いので、皮膚になじませる役割を担います。
化粧品用語集 | ライブラリー | 日本化粧品技術者会 SCCJ
水分、天然保湿因子(NMF)、脂質のバランスのこと.生体由来成分である水分、NMF、脂質に相当する物質を化粧品(水分、保湿剤、油分)によって補うことにより生物学的変化を伴う皮膚保湿の恒常性を維持するという考え方である。
化粧水・乳液・クリームをどう使うかは、個々人の肌質にもよると思います。マイクロスコープで、皮膚表面(皮丘と皮溝からなるキメ)を観察したり、(通電性を見て)水分量を計測したり、皮膚表面の鱗屑(りんせつ)を大きさを測ることでも肌状態が分かります。 皮膚の粘弾性や血流、表皮の増殖速度などを見て、より正確な判断もできます。これらを突き詰めていけば、正確なスキンケアの方法論もおのずと分かってくるようです。奥深いものですね。