エーゲ海を旅する前に知っておきましょう、古代発掘史

 

神話はどこまでも神話にすぎない。そんな偏見が歴史を学ぶにつれて、だんだん薄れてきました。神話の中には、色々なヒント、さらには神話を作った、あるいは伝承した人々の思惑が含まれていることを知るようになりました。「トロイの木馬」という有名なお話は皆さんも知っていると思いますが、そのトロイという町が本当に発掘されていた(ただし諸説あり)のですね。その立役者がハインリヒ・シュリーマンです。舞台はギリシアです。

 

bushoojapan.com

続きを読む

大地と闘かいながら築かれた今日の東京

 

関東平野は面積17,000平方キロメートル。全国土面積の5%になる広大な土地です。そもそも日本には少ない平野部の面積で見た場合、関東平野は実に18%を占めます。ここには全人口の34%にあたる4260万人が住んでいることから、非常に重要な場所であることが分かります。関東平野の特徴は、中央部が沈降していることです。実際、縄文時代には、中央部が海面の下に沈んでしまい、とても「平野」と呼べる状態ではありませんでした。

 

1. 「くに」の成立 【農と歴史】:関東農政局

http://www.maff.go.jp/kanto/nouson/sekkei/kokuei/kanna/rekishi/img/p21_01.gif

 

続きを読む

中小企業の作法:ヒット商品ができるまで

 

本書は、ある中小企業の物語です。小さな会社が、特に(人材以外)みずから何も持たない会社が、どのようにヒット商品を産み出すのか、そんな学びがここにはあります。ターゲットは「水虫」でした。

 

「水虫」とは、とても馴染みのある病気です。水虫の正体は、実は虫ではありません。昔、田んぼで作業をして刺された後かゆくなったことから「水虫」と呼ばれたのだそうです。本当の名前は「白癬(はくせん)菌」もしくは「皮膚糸状菌」というカビです。人に寄生する(ヒト好生菌)白癬菌こそが、私たちの敵「水虫」というわけですが、皮膚表面の角質(死んだ細胞の集まり)に張り付きます。そこで肌のケラチンを栄養源にして、菌糸を伸ばしながら増殖していきます。症状は比較的穏やかで、ヒトへのダメージを小さくしながら、ヒトと共生(?)しているのだです。

(参考:『水虫の正体に迫る』槇村浩一教授

 

続きを読む

地球視点で日本の歴史を振り返ろう

「世界史」で読み解けば日本史がわかる

「世界史」で読み解けば日本史がわかる

 

 

16世紀、日本では応仁の乱(1467年~)以降の大混乱で、いわゆる戦国時代に突入していました。お家騒動から始まった人間関係の混乱が100年に渡って続く戦乱の世を招くわけですが、これはあまりにも長いと思いませんか。30年でひと世代ですが、三世代を越える無秩序の時代を、応仁の乱ひとつで説明するには無理があります。実はこの16世紀前後の時期、お隣の明朝では一時衰退が著しく、インドのチムール帝国に至っては滅亡、ヨーロッパでも中世的な封建王朝が次々と倒れている最中でした。これら既存政権の崩壊をもたらした大きな力、それはシュペーラー極小期(1420~1570年)とされています。太陽活動が著しく低下し、世界は小氷期を迎えていたのです。

 

続きを読む

人類の進化と、パンドラの箱

図解でわかる ホモ・サピエンスの秘密

図解でわかる ホモ・サピエンスの秘密

 

 

私たち人類の歴史を、たった一冊で概括できます。この一冊をまとめる語は「認知」。人類は直面する問題を、「認知」の力で乗り切ってきました。仲間との連携に長け、他の犬を飼いならし、最後の氷河期を生き延びた私たちの祖先は、いよいよ一万年にも及ぶ繁栄の歴史を歩むことになります。その始まりは、農業でした。人間だけが自然から抜け出し、自然を操作する術を覚えたのです。しかし、これは「パンドラの箱」でもありました。人類は畑に囚われた生活を余儀なくされるのです。たとえば、畑のための労働、畑のための害虫との闘いなどが始まり、人類同士の抗争も生まれました。栄養は偏り、虫歯が発生したのもこの頃だと言われます。ひとつをクリアすれば、いくつもの新たな課題を抱える、人類の歴史とはその繰り返しになるのです。

 

続きを読む

健診を受けることの意味を考えておきましょう

四訂版 病院で受ける検査がわかる本

四訂版 病院で受ける検査がわかる本

 

 

人間ドックを受診する人の数は決して多くありません。その原因の一つに、「万一深刻な結果が出たらどうしよう」という不安があるはずです。本当のニーズとは、早期発見とは表面的な理由ではなく、実際には安心させてほしいというものだからです。では、もし悪い数値が出た場合、どうすればいいか。まずは慌てないことです。「検査で要注意と判定される数値と、医師が診断に使う数値はそもそも違って」います。また基準値も、統計的に95%を正常とした数値です。100%ではありません。さらに言えば、他の数値とも合わせて判断しなければなりません。ややこしいですね。下記リンクでは、末尾に面白い紹介がなされています。1000人が「がん健診」を受けて、70人から陽性反応が出ました。そして内視鏡検査をやってみると1~2人にがんが見つかります。また、陰性反応だった930人の中にも、1人くらいはがん患者が見つかるのだとか。健診・検診の難しさが表れていますね。

 

president.jp

 

続きを読む

日本人に根を張る組織病理、これを意識しましょう。

 

本書の表現には同意できないものも多々ありましたが、勉強になったのでメモしておきます。日本とともに、第二次世界大戦を戦ったドイツ。意外なことに、ナチス政権は総力戦、国民総動員の措置を取らなかったのだそうです。降伏する二年前までは「平時経済」。実際、ドイツの奢侈品を含む消費財生産は1943年で「91」、1944年で「84」(1939年=100)、この数字はあまり下降していないと判断するようです。なぜならイギリスは1943年が「54」(1930年=100)とまさに戦争経済に陥っていました。両国は比べる基準が異なるので一概には言えませんが、歴史の意外な一面に気付かせてもらいました。

 

続きを読む