化粧品は「効いてはいけない」、これは法律です。

9割の人が間違っている化粧品「効きめ」の真実

9割の人が間違っている化粧品「効きめ」の真実

 

 

現代の日本の成長産業となった化粧品ですが、法律的には「効いてはいけない」製品です。なぜなら、「人体に対する作用が緩和なもの」と決められているからです。角質層までの作用であると制限され、皮膚の角質層とはわずか一週間で剥がれ落ちます。だからおのずと作用は穏やかになるのです。では、その化粧品とはそもそも何のために用いるのでしょうか。概括的に言えば、水分と油分のバランスを整えて肌の乾燥を防ぐものです。皮膚には、バリア機能という最も大切な役割があります。異物や細菌の侵入や、体内水分の蒸発を防ぎ、内臓や神経や血管を守っています。その機能を補うものが化粧品なのです。

 

皮膚バリア機能

https://www.naturalweb.co.jp/shopping/skinp/skin003.jpg

 

 

 

化粧品は効かないので、安全だろうと思えるのですが、実際にはトラブルを起こしています。2013年、カネボウ化粧品の「ロドデノール」は白斑問題の原因となりました。そもそもこの成分は、厚生労働省から認可を受けた美白有効成分でした。10倍濃度でのパッチテストや6ヶ月の継続使用、329人の女性による2ヶ月使用などもクリアし、正式に安全性が確認されていました。さらに認可後も、調査を2年間実施し、使用者1200人のアンケートでトラブルを発見することはできませんでした。2011年10月、白斑相談が1件、2012年2月は自社の販売員3名から報告、そして2013年5月大学病院医師から白斑事例3件が報告されました。同年7月、カネボウは自主回収を発表するのですが、累計出荷数436万個に対して、確認できたのは39件の被害件数。これをどう見るか、判断は分かれるところです。しかし、自主回収の後、被害の申し出が相次ぎ、白斑様症状が確認されたのはわずか一年で18984人にまで膨らみました。

 

 

「肌がまだらに白く」カネボウ化粧品、美白系製品54品目を自主回収 - ガベージニュース(PN)

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カネボウの事件は、ロングセラー商品の最新バージョンに新成分配合となってしまったのが招いた悲劇でした。白斑が生じても、その商品を使い続けたユーザーがたくさんいたそうです。結局、販売の段階での数字は桁違いに大きくなるため、どれだけ入念に試験を繰り返していても、それをくぐり抜けてしまう成分は出てきてしまうようですね。

 

 

日本には化粧品の他に、医薬部外品という分類もあります。これは、穏やかな薬理作用成分が配合され、効果効能をアピールすることができるという分類です。医薬部外品の成分は、表皮まで届く効果が想定され、一ヶ月くらい体の中にとどまることになります。たとえばシミやソバカスに関連するメラノサイト(色素細胞)に働きかける成分は、美白成分と言えるのですが、同細胞は表皮に存在しています。美白化粧品とは本来、医薬部外品でなければならないと言えます。

 

医薬部外品は、その該当成分と使用可能量が厳格に定められています。製造工場も認定を受けたところでなければなりません。一品ごとに申請し、製造承認を受ける必要があります。メーカーにとっては極めて面倒な製品です。認可にこぎつけるまでの時間も勘案すると、億単位の費用がかかると言われます。それゆえに、医薬部外品の対象成分を配合していながら、申請を見送り、宣伝に活用するのを断念しているメーカーもあります。これは日本独自の仕組みなので、外資メーカーなどは、申請を見送る場合が多いのだとか。

 

医薬部外品 - asahi.com(朝日新聞社)トピックス

http://www.asahi.com/topics/images/TKY201006290134.jpg

 

化粧品を分かりにくいさせているものに、成分へのイメージと実際のギャップという問題があります。たとえば、石油由来成分。かつて女子顔面黒皮症を起こしたのが、色素や鉱物油でした。これは実は、精製技術がひどい頃の話。不純物が混入していたのです。今ではむしろ、安定性が高く変質もしない鉱物油の優位性が光りますが、その頃からの悪いイメージをずっとひきずっています。同様のことは、石油系界面活性剤にも言えます。言葉の響きなどもあまりよくないようです。やむを得ず、メーカー側は、「天然由来」という曖昧な表現を使って安全性を強調するのですが、それが逆に、誤った印象を消費者に植え付けてしまう結果になっています。

 

最後に。2001年薬事法が大改正され、いくつもの大きな変化がありました。そのうちのひとつが、ポジティブリストからネガティブリストへというものです。つまり、禁止成分以外は、メーカーの責任で自由に配合できるようになったのです。政府が禁止するのではなく、メーカーと消費者の責任のもと新配合や外国製品が試されるようになり、それと引き換えに、全成分表示が義務付けられました。そしてその表示から、成分の詳細が検索できるようになっています。下記のリンクを参照してください。

 

 

www.jcia.org

 

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