天下無双ユニクロは、高みを目指し続ける
国内外で成長を続けるユニクロは、今や日本を代表するグローバル企業です。日本国内の店舗数こそ伸び悩んでいます(827店舗:2018年8月末)が、海外は右肩上がりの成長を続けており、その半分を中国が占めています。気づけば、海外全体の店舗売上もついに日本国内と肩を並べるまでになりました。同書の発売当時は、ユニクロとビックとのコラボや、ユニクロ傘下の5ブランドを銀座で共同出店するなど、常に世間の注目を集めていました。
店舗数 | FAST RETAILING CO., LTD.
ユニクロの誕生は1984年まで遡ります。その一号店は広島の小売店舗でした。1998年、あのフリースが一斉を風靡(200万枚)し、売上も1000億円台に乗りました。そこからの快進撃は記憶にあるでしょう。成長は倍々ゲームになりました。ちなみに、会社名である「ファーストリテイリング」は1991年に名付けられました(前身は「小郡商事」)。同社がメーカーとして有名になったフリースは、中国製造に乗り出し、5000円以上で売られていたフリースを1900円で販売しました。今でこそ、衣服の中国製は品質がいいと言われますが、当時でこれを成し遂げたユニクロは「敵なし」状態でした。
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気候が決める人類の未来?
気候変動で読む地球史 限界地帯の自然と植生から (NHKブックス)
- 作者: 水野一晴
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2016/08/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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最終氷期(=ヴュルム氷期:7~1万年前)が終わった1万年前から、人類の進化が加速しました。最終氷期が終わろうとしていた最後の頃、突然、短い周期のヤンガードリアス期がやってきました。理由は定かではありませんが、1000年ほど続いたそうです。地質学的には短い寒の戻りでした。しかし、この短い寒冷期が、人類に、狩猟生活を放棄させたとも言われます。必ずしも最善の選択肢でなかったはずの農耕が、これをきっかけに人類の生き残る手段となり、気候の温暖化とともに、文明化へと進化していった。そんなシナリオです。この亜氷期の終了によって、ようやく現代まで続く完新世になります。
氷河期明けの“ヤンガードリアス期”の寒冷化は、天体衝突が原因? : サイエンスジャーナル
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ヨーロッパが中国(アジア)を逆転した歴史には何があったのか
世界史をざっくり俯瞰するという試みは非常に新鮮です。特に、政治史に左右されず、大きな視点で人類史の進化を見ることになります。意外な最初の疑問は、文明の基礎となる農業社会への転換です。それほど貧しくなかった狩猟移動生活を捨て、なぜ人類は農耕定住生活へと転換したのか。いまだに続く謎なのだそうです。初期の農民が入手できる食料は決して豊富ではありませんでした。飢餓のリスクも高まりました。さらに農業は人口の密集と物々交換という事態を招いたので、伝染病にもかかりやすくなりました。まぁ、本書がどう書いたとしても、農耕生活には大きなメリットがあったはずです。それを経験したからこそ、農耕生活の中で、不断の進化を図ったのが人類です。
古代においては、中国が世界最先端の地域になっていきます。前2000年には国家が形成されました。そして鉄製武具の普及や青銅貨幣の導入によって社会の分業が進みます。そんな中、政治の世界で、始皇帝による国家統一がなされると、様々な社会のルールが統一されます。ここに、古代版ユーロとも言える経済圏が誕生しました。秦の治世は急激な改革であったため長く続きませんでしたが、漢もやがて秦のような政策を採ります。 武帝の時代には、西域も手中に治め、広大な中華単一市場が完成しました。さらに隋唐時代の大運河建設で物流が一気に高度化し、宋代の時、ついに開花します。技術革新と宋銭鋳造、商工業の発展が相まって、未曾有の経済成長を果たします。それを受け継いだ元代には、交通インフラが広範囲で一気に整備されたようです。
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リベラル論争の是非とは
思ったより、読み応えがありました。小林よしのり氏の漫画ではなく、リベラル・井上氏との対談集。内容は、井上氏の論が、小林氏と噛み合い、リベラルに対する僕の偏見と誤解を見事に解きほぐしてくれました。 本来、リベラルの基本とは、他者に対する寛容さを指すそうです。民主主義を礼賛しているものではなく、平和憲法を擁護する考え方でもありません。ましてや反権力を貫いたり、市民運動を盛んにすることとは、毛ほどの関係もなかったようです。
また極めて同意できるのは、何となく治まっているが、実際には何の規定もされていない。こんな危険な状態を放置しているのはよくないという主張です。何のことかと言えば、憲法9条。自衛隊のことが規定されていないため、実際の戦力統制規範の根拠は何もありません。またシビリアンコントロールと言いますが、子息を軍隊に差し手していない文民官僚こそ、アメリカで無謀な戦争を推進した一派でした。つまり当事者意識をもつ者こそが、現実の中で、制約をもたねばならないという教えです。
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古きに学びすぎて失敗した中国が、再び儒教に回帰する理由
中国の専門家というに相応しい方の書です。難解ではありながら、巨視的に、中国を俯瞰し、決して感情論に流されない、面白い解説が満載でした。情報量がありすぎて大変な本書ですが、ここでは二点に絞りましょう。ひとつは「儒教」。中国で最も早くできた思想体系です。儒教は、私たちの感じている通り、宗教ではありません。神もいなければ、死生観もないのが特徴のひとつです。個人よりも社会との関わり方を重視しているように見えます。たとえば「礼」は儒教の道徳・教義を実践するためのものであり、世の中の安定を築くための、施政者にとって都合のいいものでした。それゆえに上下の関係を重んじ、中国の対外秩序にも大きく影響を与えたように思います。
もうひとつは、「西洋の衝撃」。18世紀、イギリスが全権大使を派遣(乾隆帝時代のマカトーニ)、対等な貿易を望みました。しかし、長らく、冊封体制を対外方針としてきた中国側にとって、これは呑めない要望でした。この対立が先鋭化したのは、あのアヘン戦争です。イギリスの強引な対等貿易策が、アヘンの密輸を促し、清朝の反発を喰らいました。そして両者はついに激しい戦火を交えます。しかし、中国はイギリスにボロ負けし、ここに中国の屈辱的な100年もの大混乱が始まってしまいました。
アヘン戦争はナゼ始まり、どう終わった?恐ろしすぎる英国のヤリ方と不平等条約 - BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)
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メタ思考で広げると、可能性が広がる
問題にぶつかった時、二つの方向性があるように思います。ひとつは、問題解決の解を、細部に渡って探す方法。もうひとつは、根源的なものに立ち返って、今の問題を俯瞰してみること。本書は後者に関するものです。世の中には、「神は細部に宿る」という言葉もあり、何かを見逃していないか、懸命に現場・現物を見つめ直してみることが推奨されています。大雑把な仕事は、本来成功するはずの事象を失敗させてしまうことだってありますので、この考えに間違いはないと思います。日本人は、この「細部」に関して、たくさんの成功をおさめてきた民族だと言えます。他方、「メタ思考」は、日本人がどちらかと言えば、苦手にしているものかもしれません。なぜなら「根源的」、すなわち、時にはその前提をも覆して、打ち手を大きく変える、という革命的な思考でもあるからです。前者を改善思考、後者を革命思考とでも言えば、納得いただけるでしょうか。
キーワードは、“無知の知” 『メタ思考』活用法 | ウェルネスセンターコラム | SBアットワーク株式会社
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腸から考える健康:人は、モノを食べ排出して、生きている
腸が嫌がる食べ物、喜ぶ食べ物 40歳を過ぎたら知りたい、病気にならない食習慣 (SB新書)
- 作者: 松生恒夫
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2014/10/16
- メディア: 新書
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7.5mの長さに及ぶ腸。腸は口につながり、消化・吸収・排泄、そして見過ごされやすいのですが、免疫。この四つが小腸・大腸と合わせての主要機能となります。免疫の中心を担うのはリンパ球。60%以上は腸内に存在しているそうです。これは腸が外界とつながっているため、外部から侵入するウイルスや菌などに対処するための防衛措置です。また排泄については、食物残渣ばかりではなく、途中で生じた有害成分や老廃物なども含まれます。これらが相互作用しながら、有毒ガスや活性酸素などを溜めていき、体の不調を引き起こします。したがって、人間が様々な食品を取り入れることができるのは、腸が健全に、危機管理に働けているという大前提が必要です。
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