腸から考える健康:人は、モノを食べ排出して、生きている

 

7.5mの長さに及ぶ腸。腸は口につながり、消化・吸収・排泄、そして見過ごされやすいのですが、免疫。この四つが小腸・大腸と合わせての主要機能となります。免疫の中心を担うのはリンパ球。60%以上は腸内に存在しているそうです。これは腸が外界とつながっているため、外部から侵入するウイルスや菌などに対処するための防衛措置です。また排泄については、食物残渣ばかりではなく、途中で生じた有害成分や老廃物なども含まれます。これらが相互作用しながら、有毒ガスや活性酸素などを溜めていき、体の不調を引き起こします。したがって、人間が様々な食品を取り入れることができるのは、腸が健全に、危機管理に働けているという大前提が必要です。

 

大腸の働き | おなかのはなし.com 一般の方向け

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栄養の吸収を担う小腸と異なり、主に排泄を担う大腸で大切なことは、便意が起こることです。便を我慢したり、下剤を飲み続けている人は、便意が徐々に鈍くなります。食物繊維や水分がなくなると、あるいはストレスがたまると便意につながらず、排便に行かなくなって便が固くなります。その結果、消化管を通しにくくなるという悪循環に陥ってしまいます。人間は最初(赤ちゃんの頃)、便秘はしないものです。便秘とは、生活習慣が招くものだからです。まず離乳食が始まってから、徐々に腸内細菌が増えていきます。これが皆さんの知っている常在菌(善玉菌や悪玉菌)です。常在菌は一般に400種類以上、100兆個存在すると言われます。彼らは主に大腸を住処とします。赤ちゃんが食事の摂取を始めると一気に増加し、様々な代謝物を産出します。現在知られているのは、偏食・ストレス・疲労・運動不足などで、悪玉菌が増えていくことです。

 

では、悪玉菌とは何をもってそう呼ばれるのでしょうか。悪玉菌が原因で便秘になるわけではありません。冒頭の掲載書では、便秘が先で、その結果として悪玉菌が増えると書かれています。

 

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悪玉菌が増える原因と善玉菌を増やす方法【医師執筆】|HALLOM(ハロム)

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「たかだか便秘」ではありません。ダイエットなどで食事量が少なくなることも原因の一つだし、運動不足や加齢などで腸の動きが鈍くなってしまうことも一因でしょう。他方、精神的なことも原因になり、便意を感じにくいとか、自律神経のバランスが悪くなるとか、人間の生活習慣が、腸の活動と深く関わっています。したがって、市販の薬を見るとよく分かりますが、とにかく腸を動かすこと。これをしないことには、日々積み重なっていく食物残渣を外に排泄できません。腸を刺激する成分をベースに、腸を膨張させたり、水分を呼び込んで便を柔らかくしたりします。

 

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腸には食べ物から栄養素を吸収するという役目がありますが、前述したような、大腸・小腸の役割が重要です。また、小腸は比較的病気になりにくい器官ですが、恐ろしい病と言えるのは「大腸がん」でしょう。男性死因の三位、女性死因の一位。このがんについては食物と密接な関係があり、がんリスクを高めるものと下げるものがそれぞれあります。食生活の改善ポイントとしては、食物繊維と水を十分に摂ること。一日三食、規則正しく摂ることも腸の正常な働きを促します。

 

食と排泄の“腸”イイ関係! | Dr.コラム | 健康サポート情報局 げんきなカラダ

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腸に良い具体的な食べ物として、冒頭の掲載書からは「大麦」が挙げられています。かつての日本では、米に混ぜられ、半々で食べていたそうです。この大麦に含まれる水溶性食物繊維が大腸内善玉菌の栄養源となっていました。また研究段階ではありますが、大量に含まれるβグルカンが、血圧降下や血中コレステロール低下に寄与します。さらに腸の粘膜を守るマグネシウムも、今日の日本人は大麦とともに失ってしまった栄養分と言えます。

 

腸内の「善玉菌」 効果的に増やす食生活|ヘルスUP|NIKKEI STYLE

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最後に、食物繊維と言えば野菜の摂取ですが、これが生野菜ばかりだとバランスが悪くなります。なぜなら、レタスやキュウリばかり食べてもこれらは「不溶性」の食物繊維なのです。そもそも食物繊維の役割とは、腸内細菌の栄養源となって腸の蠕動運動を助けたり、水分を含んで膨張し腸内を掃除してくれたり、有害物質の吸着・排出を担ったりする非常に重要や役割を果たします。「不溶性」は水分と結びついて、「水溶性」は善玉菌の栄養源として、ともに異なる役割を演じますので、その割合を「不溶性:水溶性=2:1」として意識して摂るようにしましょう。

 

つくづく思いますが、「健康にいい」はずの知識を短絡的かつ大雑把に得ているだけでは、その具体的な行動において、逆のことを行なっている可能性もあるのですね。

 

図解で簡単!専門家が『食物繊維の機能と便秘解消』を解説するよ! | レコメンタンク

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