単なる点の羅列ではない「箇条書き」の極意

超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術

超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術

 

 

世の中の「優秀な方」は、ほとんど意識しておられず、すごいことをやってのけます。その点、自分のような平凡な人間は、学ぶべきことを言語化し、理解し、実践の中で自分の合うものに調整します。本書は、そんな自分の習慣のうち、8割くらいは理解しながらやっていたつもりのことを、きれいに言語化し、足りない2割を補ってくれる良書でした。

 

簡単に言えば、相手に伝えるのに、なぜ読ませないといけないか。サッと見せた方がお互いに楽だろうというメッセージです。

 

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  1. なぜ、何を伝えるのか(全体像・構造化)
    パッと見て、分かるような形式にすること。

  2. 直列・並列で、時間軸を整える
    これで因果関係も明確になる。

  3. 冒頭でまとめる、リードする
    ジョブズの演説を聞けば、しっくりくるはず。

 

 

 

 

スティーブ・ジョブズのプレゼン術を徹底分析! 〜歴史的名演「iPhone」とベストプレゼン10選〜

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箇条書きは、ただ、点で並べて報告することではありません。そこには物語が必要です。なぜなら、人に見てもらうことに変わりないからです。たとえば、出だしのイントロ、そして途中のフック、見せ場となるクライマックス、最後にこの報告が聞き手を主人公とするものだとして、簡潔なメッセージでまとめること。

 

  1. イントロ:聞き手は何に関心をもつか。
  2. フック:説得力のある問題提起。
  3. 見せ場:「MECE」崩し。
  4. メッセージ:何かを否定し、何かを決意。

 

MECE」とはモレなくダブリなく、という、データを整理する時に重視される考え方です。これを報告書にまで持ち込んでしまうと、本末転倒になります。とりあえずすべてを報告したから、自分の責任は全うしたという言い訳的態度にもなりかねないからです。大切なことは、相手にきちんとこちらのメッセージを届けること。つまり箇条書きでの報告というのは、プレゼンに限りなく近い作業なのです。

 

では、どう伝えるべきか。些末な、重要でない情報を、とことん排除することです。相手のために報告をする(報告やプレゼンは、聞き手こそが主人公)という主旨からいけば、とても合理的なやり方です。

 

また、フックについても同様。形容詞や副詞などで現場の問題点を報告しても伝わりずらいです。それよりも、生々しい現場の状況や数字を掲げてみれば、インパクトは変わります。たとえば、「仕事のスピードが遅い」と書くよりは、「本情報をまとめるのに3日もかかりました」と書いた方が、問題の深刻さが伝わりやすい。

 

超・箇条書き | ビックリ探し:Amazing-Quest.com

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最後のメッセージのところは、明確に「Not~But」を使った方がいい。「皆さん、大切なことは決して~ではないのです。」などのフレーズが出てくると、思わず聞き入ってしまいますね。そしてその後の言葉が知りたくなるはずです。これこそが、ズバッと言える結論になります。

 

箇条書きで強いて注意するところは本稿でも述べられていますが、簡潔に書きすぎて、体言止めにしてしまうことです。僕もよくやってしまいますが、体言止めとは自動詞なのか他動詞なのかがはっきりしません。たとえば「コスト低下」と書いたとして、「コストが低下している状態」を指すのか、「コストを低下させたい決意」なのか、曖昧になります。しかも過去・未来すら定かではありません。簡潔を狙うとは言いつつ、誤解は避けたいものです。

 

本書にもある通り、「10倍早く、魅力的に」、そして正確に伝える努力だと思って勉強してみましょう。