化粧品を科学的に知るためにも、正しい言葉使いと知識を

化粧品を正しく使えばあなたはもっとキレイになる。

化粧品を正しく使えばあなたはもっとキレイになる。

 

 

「敏感肌」という言葉は何気に使ってしまいますが、その意味を理解されている方はどれくらいいるでしょうか。専門家の言を借りれば、「軽いアトピー性皮膚炎のある乾燥肌」となるそうです。要は、乾燥肌なので、保湿ケアをきちんとすればいいのですが、アトピーという点が曲者です。その意味は「先天性過敏症」、つまり、生まれながらにして皮膚が過敏な状態にある人のことを指し、(主には)遺伝子に由来するわけです。

 

皮膚表面のバリア機能が弱まり、体内の水分が蒸発、そして皮膚に亀裂や傷口が広がってしまうと、そこから異物や細菌が入ってきます。これに体が反応して、強いかゆみと発疹(ほっしん)が生じます。これを掻くと、傷口が悪化したり、細菌がもっと侵入していくという悪循環に至ります。

 

アトピー性皮膚炎の方のためのスキンケア|肌トラブルとスキンケア|持田ヘルスケア株式会社

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「美肌」という言葉もよく使われますね。 美肌=美白とゴチャゴチャにされがちですが、美肌とは本来、透明感やツヤを指しているべきです。皮膚に凹凸がなければ、美しく見えるものです。また、「キメ細かい」も同様です。定義があるんですね。皮膚の細かい溝が浅く、丘の部分が整然と並んでいる、それがキメなのだそうです。言葉はきちんと分かって使いたいものですね。

 

化粧品と言えば「スキンケア」ですが、美しい肌の最大テーマは保湿です。方法は三つあり、表面に膜を張る、角質内部のNMF(天然保湿因子)を加える、そして角質と角質の間を満たしているセラミド(角質細胞間脂質)を補うというメカニズムで保湿するのです。結局、どういう皮膚であっても、問題は外からやってくるわけで、バリアを高めるスキンケアをすることが、最も重要だと、本書の著者・皮膚科医は強調しています。

 

 

肌が綺麗になる方法と化粧水は皮膚に入らない理由 - 綺麗のミカタ

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さて、そうは言っても、年齢の圧力には勝てないものです。シミができ、シワが増え、皮膚がたるんできます。これらに対処する手段が、アンチエイジングという製品群だったりするわけですが、最近では「抗酸化」「抗糖化」などの新しいキーワードも登場し、老化に負けないという売り文句が、スキンケアの中の大きなカテゴリーになってきました。そんな流れもあって、将来のシミ等につながる紫外線対策も若いうちから必須とされるようになっています。本書では10代からでさえ必要だと書いています。

 

「女性のアンチエイジングに対する意識」調査 | インテージ 調査レポート ライブラリ

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「光老化」というのも、比較的新しい研究成果です。シミだけでなく、シワにも、紫外線は大敵なのだそうです。これは真皮の繊維芽細胞が関わっているようですが、コラーゲンや弾性繊維のエラスチンを作る過程で、紫外線の作用が「不良品」を作ってしまうのだとか。その結果、皮膚のハリが低下してシワを生じさせるのです。紫外線対策は、基礎化粧品にとっては欠かせないものだと言えます。よってアンチエイジングは、市場規模とともに、研究的にも急成長をしています。

 

皮膚科学ソリューション開発 | 研究領域 | 研究開発 | 資生堂グループ企業情報サイト

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皮膚の加齢によるしわ、たるみ。私たちはその発生の原因究明に様々な角度からアプローチしています。皮膚の水分保持にはヒアルロン酸が有名ですが、資生堂は「ビタミンA」にヒアルロン酸合成促進作用を見出し、さらに皮膚のしわ改善効果も確認しました。また、紫外線によるコラーゲン線維や弾力線維などの線維破壊メカニズムの解明にも取り組んでいます。これら知見をもとに、加齢変化に対応した有用なソリューション開発を進めています。

 

 

皮膚の構造・機能なら新しい皮膚科学|皮膚病全般に関する最新情報を載せた皮膚科必携テキスト

https://www.derm-hokudai.jp/textbook/img_new/im4.gif

 

皮膚の研究はとても面白くて、その基礎的な用語解説などは、上記リンク先の、教科書の内容で参照できます。

 

イメージで化粧品を買う人が多いせいか、メーカー側もイメージ宣伝ばかりをやっています。そんな中で、嘘に近い文句がやたらと飛び交ったりしていると、少し気の毒になります。確かに、経済学者のケインズはこう言ったそうです:「穴を掘って埋めればいい」と(本当は違う意味だったらしい)。しかし、化粧品はそうであってほしくないですね。正しい知識と正しい使い方で、多くの女性に(男性にも)、やっぱり喜んでもらいたいものです。