鉄道と一体的な成長が続く東京・首都圏

駅格差 首都圏鉄道駅の知られざる通信簿 (SB新書)
 

 
日本一の乗降客数を誇るのは新宿駅。その開業は明治18年(1885年)です。赤羽と品川を結ぶ品川線が誕生した時に、新宿駅も生まれています。もともと新宿は、江戸時代より宿場町として栄えた場所ですが、その正確な位置は、今の新宿三丁目駅あたり。鉄道の場所を確保するため、そこから西の方に新しい駅・街が造られていたようです。その新宿駅は今や日本一どころか、「世界一」の利用者数だとか。

 

JR東日本 乗車人員 769,307 人(乗降人員換算で約153万人)
京王電鉄 乗降人員 770,072人
小田急電鉄 乗降人員 499,919人
東京メトロ 乗降人員 233,555人
都営地下鉄 乗降人員 新宿線 289,786人 大江戸線 139,794人

 

https://i1.wp.com/rail-to-utopia.net/wp/wp-content/uploads/2018/02/JR_Shinjuku_Miraina_TowerB.jpg?w=900&ssl=1

 

 

新宿駅の発展は、東京が、いわゆる「西高東低」になった象徴です。高度経済成長の時代、丸の内線が新宿駅まで延伸し、都営新宿線京王新線が開業しました。そこに埼京線が乗り入れ、大江戸線も新宿を基点に登場。これは都庁舎移転を前提にしたものです。さらに勢いそのままに副都心線まで加わったため、いよいよ頭一つ抜き出た感がある新宿駅。そのライバルだった池袋駅や渋谷駅は、少し離されて2位争いをしています。同じ山手線で言えば、直近の将来を嘱望されているのが品川駅です。新幹線と空港とを結びつける要所となり、またリニアもここが開業になります。それをにらんで、常磐線の特急が品川始発になりました。この品川駅が、乗降客数ランキングでは東京駅と並んで上位につけていますが、それでも新宿駅の三分の一以下。いかに新宿駅がすごいか、数字ははっきりと示しています。

 

上位対決では新宿がダントツですが、乗降客数上位20駅における半分以上は「山手線」です。ここではそこからはずれていますが、面白いポジションにある駅を取り上げましょう:北千住駅赤羽駅。特に北千住駅は、ターミナル駅でもあることから商業施設が充実し、周辺部の家賃も庶民的な水準です。乗降客数では横浜駅と並びます。他方の赤羽駅は、大宮・浦和・川口という埼玉県を代表する駅が並び立つその最前線に位置します。都心にはより近く、乗換にも便利で、かつ家賃は決して高くありません。これらの条件を考えると、今後の発展は約束されたようなものです。近年、タワーマンションなどで武蔵小杉が急成長してきましたが、赤羽駅はその次を狙える可能性がありそうです。

 

www.o-uccino.jp

https://rimg.o-uccino.jp/store/oarticle/uploads/2018/01/01.png

 

本書によると、興味深い駅対決として下記の通り。

 

 最後に、千葉県を代表する二駅の対決。千葉県の中心は千葉駅でした。しかし最近は、船橋駅の隆盛が著しい。乗換や居住の利便性は言うまでもなく、さらにメトロに乗り入れる西船橋駅と、ららぽーとを有する南船橋駅とが合わさって、「船橋連合」を形成しています。街としては、千葉駅以上の存在感なのかもしれません。他方、海浜幕張駅は、新しいスターとして産声を上げました。幕張メッセが日本初のコンベンション施設として1989年に開業し、翌年には千葉マリンスタジアムも誕生。そしてJR京葉線が開通すると、ホテル・企業・研究所、マンションなどが次々建てられました。これらの開発は、「幕張新都心」構想として計画的に進められてきたものです。日本でも有数の巨大商業施設イオンモールがここに加わったことで、隣の新習志野駅方面に至るまで様々な施設が続いています。もしこの一帯が南船橋駅までつながれば、船橋から幕張に至る沿岸部は、まだまだ伸びる余地を残しているのかもしれません。

千葉市:幕張新都心概要

https://www.city.chiba.jp/sogoseisaku/sogoseisaku/makuhari/images/h01messe1.jpg

 

 

駅に沿って、巨大化・多層化が進む東京は、横浜や大宮さらには千葉沿岸部に向けて、意外とまだまだ成長余力を残した都市であることが分かります。