問題を解決するための順番:Where→Why→How→What

問題解決――あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術

問題解決――あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術

 

 

「HOW思考に陥っていませんか」。そう聞かれても何のことやら分かりませんね。問題に対して、どんどん対策案を出していけば、おのずとそうなるのです。たとえば:

  • (前例がないので)考えても仕方がない
  • (人の気持ちなど)やってみないと分からない
  • (どう見ても原因は自明なので)さっさとやった方がいい
  • (他の方法は実行不可能なので)どうせこうするしかない

 

 

このように、HOW思考には落とし穴があるのです。確かにそれがすべて間違っているわけではありません。しかし、問題がどこにあったのかを検証もせず、なぜそうなったのかの経緯を見ようともしない。つまりWHEREやWHYがない思考法では、解決策が表面的なものになってしまいます。広く問題をとらえ(=WHERE)、真の原因を究明していく(=WHY)ことで、本当に有効な対策案を考えることができます。本書の図示を参考に掲載しておきます。

 

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問題にぶち当たった時、視野を広げ、角度を変え、さらに関係者の期待をつぶさに拾い集める。このWHERE思考を私たちはもっと学ぶ必要があります。たとえば、「QBハウス」という1000円カットのビジネスアイデアが登場したケーススタディは非常に有名ですね。価格破壊の代表例として挙げられがちですが、実際には、過剰スペックだったサービス体系をシンプルにしたこと、また理容業を全国規模でチェーン化させて立地重視の配置ができたこと、さらにカットのノウハウを積み上げて体系化させていること。これらは以前、理容業にはなかったことです。特に、スピードを上げる技術は、独立理容師の世界では軽視されがちでした。競合店舗も、単純に値段を下げてみましたが、苦戦しているところが大半です。なぜなら、QBハウスは、スケール規模でブランド力を増し、巧みな立地で客数を確保して、現場ではしっかりと効率的にさばくという三段手法で、売上と利益の継続成長を実現できているからです。客数を増やせず、利益も失った他店舗は、ますます苦しくなっていきます。もし「打倒QBハウス」という問題に取り組むとして、価格を下げる安易な手法を繰り出すだけでは、苦境の打開にはなかなかつながりそうにありません。

 

模倣店が増えても、QBハウスも増えるワケ (1/6) - ITmedia ビジネスオンライン

http://image.itmedia.co.jp/business/articles/1612/07/yd_qb1.jpg

 

 

では逆に、付加価値を上げて、高級路線を志向するというのはどうでしょうか。QBハウスとは競争しないと決めて、自らのポジションをずらしてしまうのです。ところがこの単純発想も、実はHOW思考の域を出ていません。価格競争にやられたから、同じ安値で対抗するのか、逆に値上げに相応しいサービス改善に乗り出すのか、いずれにしても「コインの裏返し」と呼ばれる短絡的な対策です。近所にQBハウスが出店してきたため、顧客を奪われてしまったという表層的な事実に対し、「なぜ私たちは顧客を奪われたのか」、冷静に検証していく必要があります。一部の顧客はお試しでQBに一時的に流れたにすぎないのか、またはあなたの顧客はもともと価格に不満が強かったのか、あるいはQBの短時間という価値に惹かれたのか、さらには日頃からあなたのお店に対して不満の強い顧客が多かったのか。それらを確かめておくべきです。これがWHY思考ですね。もしかしたら、大半の顧客はあなたに不満などなかったが、昨今収入が減るばかりで不安が募っていたのかもしれません。これを機会にQBハウスを試してみている可能性があります。また、子どもやご老人などは、安ければいいと結論づけてしまっている場合もあるでしょう。

 

図解と事例でわかるビジネス問題解決フレームワーク20選

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いわゆるビジネス・フレームワークは実にたくさんのものが知られています。よく、英文字などを使って表現されますが、事業環境を内部と外部とに分けて、整理してみることを目的としています。これらを用いて、わざわざ言葉で認識をしておく作業こそが重要です。ただし、分析屋さんにだけはならないように。調べて、評論することだけが目的となってしまったら本末転倒です。重要なことはWHEREやWHYの思考で視点を広げてかつ深めてから、HOW思考に戻すのです。たとえば、QBハウスの登場で客数を減らしてしまったが、1500円の単価なら帰ってきてくれる客が少なくない、そう判断できた場合、どのような名目・仕組みで単価を1500円にするか考えることになります。QBハウスは10分カットと言いながら、待ち時間の実態が平均15分を越えていた場合、合計時間で25分間なら同じ土俵で競争できるかもしれません。さらに調べていくと、QBハウスでは理容師との会話がほとんどないことに気づかされます。会話を好まない客もいるので、一概には言えませんが、話題のネタを髪型にして、たくさんの髪型を写真で用意しておく手もあります。理髪しながら、時々、質疑応答などで助言までできるよう工夫するのです。それら資料を先に読みたい方がいらっしゃれば、飲料を差し上げることも含めて提供できれば、まったく新しい競争力に変わるかもしれません。

 

  1. 成功要因(=WHAT)を見つける
  2. 分かりやすい、実行可能な対策にする
  3. 実行のための障害を一つずつ取り除く
  4. 仕組み(=標準化)に置き換えて、量産・拡大を図る

 

問題解決の教科書が私たちに教えてくれたこと、それは問題解決がルーチン化できることです。やり方さえ、個々の組織に合わせられれば、日頃から問題に敏感になり、分析をして、どう解決するかを自然に考えられるようになるはずです。WHERE、WHYと来てから、HOWを複数考えてみる、ただしそこではWHATを見つけて、実施検証してみるという実証ステップが必要です。「問題」を正しく見つけることさえできれば、必ず解決できるものなのです。