問題の解決前に、「問題の認識」

世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく

世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく

 

 

問題解決って何でしょうか。

  1. 現状を正確に理解し、
  2. 問題の原因を見極め、
  3. 効果的な打ち手まで考え抜き、
  4. 実行する、ことです。

 

何やら当たり前のことばかりですが、実際には「数学の成績が落ちてきた」時、多くの人はもっと数学の勉強をしようとするだけです。なぜ落ちたのかを分析し、対策を決めている人の方が少ないでしょう。原因となりえるものを洗い出し、仮説を立てる。これらは意外と「できるようで、なかなかできない」ことですね。

 

 

問題の原因を洗い出すとは、問題と思われる要因をあぶり出し、拾い集めることに他なりません。「広げる思考」です。これと同じことが、打ち手にも言えます。実行しやすいあるいは効果がありそうな打ち手をずらりと並べます。現象として現れた問題を、要因とその対策という切り口で、広く掘り起こして並べる。この過程があることで、問題解決の可能性が著しく高まる、と本書は言っているのです。しかし、真の要因と「最適な打ち手」を見出す作業こそが核心です。ここで必要になるのが「狭める思考」です。真の要因にまでさかのぼり続けて、そこに突き刺さる打ち手を特定しなければなりません。打ち手は、金銭的にも時間的にも限りがありますので、真の要因に向けて用います。実行可能と予測効果という二つの尺度で、打ち手を事前に評価し、最適な形式を決めることになります。それを示した象徴的な模式図は下記の通りです。

 

ロジカルシンキング&問題解決 | Precena Strategic Partners

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最後に、本書の内容は少々「当たり前すぎ」て、肝心なことが書かれていないと感じました。それを補足しておきます。問題解決で一番難しいのは、「問題を認識」することです。たとえば寝坊したこと。そう聞けば、あたかも寝坊そのものが問題のように感じますが、目覚ましをかけたのか、前日早く寝たのか、寝坊して一体何が問題だったのか、など数々の疑問が湧いて然るべきです。「解決すべき問題」とは、寝坊して遅刻したことなのか、寝坊を促すような生活サイクルなのか、はたまた効果的な目覚まし時計に交換すればすむことなのか、問題を設定するだけでもいくつもの選択肢があります。

 

問題を解決して何を得たいのか、そこを明確にすることで、問題現象を眺める角度が決まることを覚えておきたいものです。