優秀な経営者に見る、その表現力(アリババ・創業者・馬雲氏)

ジャック・マーという英語名で知られる「馬雲」氏。中国大陸の代表的な民間企業家であり、ソフトバンク孫正義氏をして、わずか数分で「200万ドルを投資する。頑張って」と決断させた才知である。その彼の、台湾でのスピーチを映像で見せてくれたのが下記だ(中国語のみです。しかも字幕も繁体字。すみません)

 

www.youtube.com

 

彼お得意のスピーチもさることながら、その後の、会場での対話が面白かった。ある女性に、タオパオでの偽物が蔓延していることを質問されたときの彼の反応が本当に素晴らしい。

 

1)偽物は絶対ダメ。必ず撲滅させる。

2)消費者のクレームをもとに、IPを追跡し、売り手を追及する。

3)公安にもすべての情報を提供。

4)タオパオは若いスタッフが多く、懸命に学びながら対応中。

5)今、中国は偽物が出回る段階。米英、日本もともに経験した。

6)ただ、数十元のローレックス時計を本物と思って買う人は極少数。実は消費者も分かっていて買っている節がある。

7)タオパオは買って7日以内に自由な返品を認めている。

8)対策をしないで批判されるのは、タオパオだ。だから、頑張る。

 

 

 

こんな回答をされたら、なるほどと思ってしまう。言い訳も、言い訳に聞こえない。ユーモアも交えて未来志向で語れる。これが馬雲氏の才能の一端である。

 

wedge.ismedia.jp

http://wedge.ismedia.jp/mwimgs/d/3/400/img_d3b679e683ad579e279cadfb0074996660355.jpg

 

「1999年に馬雲ら18人の若者は、杭州のアパートでアリババを作り、Eコマースへ進撃することにした」。彼が始めたのは、今となっては何とも怪しいイエローページから。その後、世界最大の<B to B>サイトとなったアリババは、消費者向け販売としてタオパオを立ち上げ、あの巨大ベンチャーE-bayとの全面戦争に入っていく。世界最大の中国市場を背景に急成長を遂げたアリババは、その後Tモールというブランド専用の販売サイトも併設し、巨大なオンライン・ショッピングモールとして不動の地位を築くに至る。アメリカのアマゾンでさえ、現在太刀打ちできない状況だ。

 

 

diamond.jp

「アリババの成功の原因はどこにあるかと人々は言うが、……無数の失敗がなければ、われわれは今ここにはいなかったであろう。大木の下には必ず巨大な栄養があり、その巨大な栄養はその時代に多くの人々が犯したミスから来ている。

 ビジネスとは厳しいものであり、戦と同じで生き残ることこそが成功である。95%の者は敗れ、残りの5%が幸運な成功者となる。もしこの5%に入りたければ、敗れた者たちがどのようなミスを犯したのか同じ轍を踏まぬよう学び、そして未来のルールを見つけ出す。これが、私がここ数年最も時間を費やして考えていたことである」

 

アメリカ上場以後、中国の馬雲(50歳 純資産は265億米ドル)は大富豪となった。中華圏には、李嘉誠(香港)という伝説の富豪が有名だが、両者のキーワードは、李氏の不動産から馬氏のインターネットへと変わった。

 

 

honvieew.com


名言その1「自分を疑ってもいい。信念を疑うな。」

名言その2「この世界は怠け者によって支えられている」

名言その3「諦めることが最大の敗北」

名言その4「一つのことに打ち込まなければ何も成し遂げられない」

 

 

彼自身は成功に学ぶな、失敗に学べと言うが、それでも馬雲の発想の面白さには、十二分に学ぶ価値があるだろう。

 

 

www.youtube.com

 

今や世界も認めるアリババの実力と潜在力。独学の英語と持ち前の行動力を引っさげ、今日のネット帝国を築いた彼だが、やっぱりその頭の良さだと思う。偉ぶらず、それでいてはっきりと本質と夢を語る。彼に魅了された仲間が次々と加わり、気づいたときにはとてつもない企業が誕生していた。内外から注目を浴びる同氏を、私たち日本人も少しは気に留めておいた方がいい。